ご無沙汰しております。マラソン部の長尾です。

初対面の人や、さほど親しくない人との会話の中でマラソンを趣味にしていることを伝えると、十中八九受ける質問がいくつかあります。

その中の1つが「何を目指してるの?」といった質問。正直、この質問が最も愚問なんです。だって答えはレースの最後にあるフィニッシュゲートに決まってますやん。そう答えると「いやいや、そういうことじゃなくて」と面倒くさそうに返され、将来像や目標を求められます。ですが、そもそも走ることが楽しいから走ってるだけであって将来像なんてあるわけもなく、こちらとしても困惑顔を浮かべるしかありません。ただ目標と言われると大きなものが1つありまして、この度それに挑戦してきましたので記事にさせていただきます。それが「飛騨高山ウルトラマラソン完走」です。

ウルトラの説明

そもそもウルトラマラソンとは、フルマラソン(42.195km)を超える距離を走るマラソンのことを指し、100kmマラソンや24時間マラソンがスタンダードな競技になっています。

そしてトヨトモが本社を構える岐阜県にも日本3大ウルトラマラソンに名を連ねる大会があります。それが今回挑戦した飛騨高山ウルトラマラソン(100km)。この大会が名を馳せる所以は、アップダウンが激しい国内屈指のタフなコース。京都のような古き良き日本の町並み、自然豊かな乗鞍岳を望むコースは、挑戦者だけが噛みしめる興奮と感動が待ち受けています。そして何と言ってもエイドで振舞われる飛騨牛。食べたい、いや走りたい。そう思っていたものの未知の世界に尻込みしていた僕なんですが、案外ランニング仲間で今年参加するよって人がたくさんいたので、ほんなら僕も!って勢いでエントリーしてしまいました。

ウルトラの準備

この大会の参加資格として「フルマラソン完走経験のある健康な男女」が厳守事項になっています。

ってことで、まずは今年の1月中旬に現在岐阜県唯一のフルマラソンの大会「木曽三川マラソン」に挑戦。(参加料が4000円!!!)

記録はネットタイム3時間48分53秒、無事サブ4を達成。

そして3月下旬からウルトラ完走に向けて新たなトレーニングを実施します。それが60km走。60km走とは名の通り60kmのロング走。長い距離を走ることに耐性をつけることが目的ですが、60km走ることで起きた失敗や問題点を洗い出し、次の60km走に繋げていきました。身体への負担が大きいため1ヵ月に1回程度しか実施しませんでしたが、僕にとっての3つ課題が浮き彫りになりました。

①   熱中症対策

大会当日の天候、こればかりはどうすることもできません。高温多湿の環境での激しい運動は熱中症にかかるリスクが高まります。実際僕も60km走をしていると気温が30℃まで上がり、倦怠感で走れなくなることがありました。熱中症の原因は周知のとおり発汗による脱水ですが、単純に水分補給をすれば防止できるわけではありません。発汗によって体内の水分とともに塩分やミネラルも奪われてしまうため、スポーツドリンクによる水分補給が効果的。さらに細かく言えばスポーツドリンクは「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」の2種類に分けられ、ハイポトニック飲料の方が運動時の発汗によって体液の浸透率が下がっている状態の体への水分吸収が早く、ランニング中の水分補給に適しているそうです。ということで当日はハイポトニック飲料の粉末をマイボトルにエイドの水に溶かして入れ、走りながら水分補給をすることにしました。そして塩分補給のため、こまめに塩タブレットを摂取することも忘れません。

②   足攣り対策

60km走に限らずトレランのレースやフルマラソンで、決まったようにハムストリングが攣って足が止まり、タイムロスに悩まされていました。原因の1つに発汗によって必要なミネラル分が体外に流れ出てしまうミネラル不足が挙げられます。予防方法としてここでもスポーツドリンクの摂取は言わずもがな。そしてランニング仲間からバナナの摂取をすすめられました。バナナにはカリウム・マグネシウム・カルシウムが含まれており足攣り予防には有効だそうで。んー、僕あんまりバナナ得意じゃないんですよね。でも背に腹は代えられぬ。当日はエイドではバナナを少し食べてみることにしました。

③   エネルギー不足対策

60km走の後半、45kmを過ぎた辺りで急に足が前に出なくなるという経験をしました。一般的に「ガス欠」や「足切れ」と呼ばれるエネルギー不足の状態です。そもそも、全身を使って長く動き続けるマラソンは、体のエネルギーを大量に消費します。ですので、筋肉を動かすエネルギー源の糖質を十分に摂取することが重要。また、体内で糖質からエネルギーを取り出す代謝過程ではビタミンB1が必要になるとのこと。ビタミンB1が不足すると、糖質が効率よくエネルギーに変換されなくなり、エネルギー不足や疲労を招く要因となるそうです。そこで、エネルギー不足を解決できる補給食を検索していると、辿り着いたのは結局バナナでした。バナナはビタミンB1をはじめ、たんぱく質の代謝を助けるビタミンB6などビタミンB群を一緒に摂取できるので理想的な補給食だそうです。 マジっすか⁈バナナ先輩ヤバいっすね‼お世話になります‼ってことで、当日はエイドのバナナを食べまくることを決意しました。

みなさんもうお気づきだと思いますが、3つの課題の対策全てが飲食によって解決されます。よく「マラソンは食べるスポーツだ!」と言われますが、より長距離を走るウルトラマラソンはそれが顕著に現れます。今更だけど大食い自慢の僕はマラソンに向いているのかもしれないな。そんなちっぽけな自信を胸に、当日を迎えるのでした。

ウルトラの当日

大会当日の天気予報は曇り、最高気温24.0℃。絶好のウルトラ日和です。

AM3:00頃会場到着。手荷物を預け食事(バナナ)やトイレを済ませ、ランニング仲間と合流し記念撮影や談笑しているとあれよあれよという間に第2ウェーブでAM4:50スタート。

結果はというと、

ネットタイム11時間57分49秒、無事完走できました

100kmの長丁場。エイドや沿道での声援、わざわざ応援に駆けつけてくれた師匠や仲間のおかげで、最後まで精神力をキープし実力以上の走りができました。ありがとうございました。苦しいながらも楽し過ぎる100㎞の旅でした。

今回の課題だった①熱中症対策はマイボトルでこまめな水分補給を心掛け、5km毎に塩タブレットの摂取を徹底。そして気温が低く小雨が降る時間帯もあったので難なくクリア。

②足攣り対策はバナナを食べまくりましたが(合計5本)、残念ながらハムストリングスが攣ってしまいました。しかし軽度の足攣りに留まり走れないこともなく、少しペースを落として様子を見ていれば治まる程度で大幅なタイムロスは免れました。まあ及第点ですね。

そして③エネルギー不足対策はとにかくエイドでバナナの摂取を最優先事項としながら、パン・おにぎりなどエネルギーになるものを食べ過ぎや‼と思うくらい食べる作戦を決行。さらに個包装のバウムクーヘンや煎餅などをポケットに詰め込んで走りながら食べました。結果、85km過ぎた辺りから軽度の胃腸トラブルで水以外は喉を通らなくなるも、エネルギー切れを起こすことなく最後までペースを崩さず走り切れました。このエネルギー不足対策の成功こそが今回のウルトラ完走の大きな要因だと思います。ありがとうバナナ先輩、当分食べたくないけど。

この大会にエントリーする前、100km完走したら僕の人生観はどう変わるのだろうと期待を膨らませていました。けど完走して今思うことは100km走ったくらいでは人間何も変わらない、ただ100km走れる足に仕上がっただけだってこと。まあ話のネタが1つ増えたなって程度のことなんですよね。そもそもトレーニングしてる時点で完走出来るって確信してましたし。今回のウルトラ完走は通過点の1つに過ぎなかった、全然満たされていない。もっとタフなコースのウルトラを走りたい、もっと長い距離を走りたいという願欲が湧くのは必然でして、まだダメージの残る足と相談しながらゆっくりとトレーニングを再開するのでした。

ここまで脱落せず読んでいただけたランナーでない方々はきっとこう思ってることでしょう。「こいつ変態や」って。あんまり褒めないでください、照れちゃいます。

冒頭のくだりに通ずる話なんですが、僕がウルトラ完走を目標に掲げた理由。それは、父親がいい歳こいても必死で挑戦する姿を息子たちに見せたかったからというのがあります。

思春期を迎え会話もめっきり減り、何を考えてるのかわからない長男。学校では真面目な生徒扱いされて学級委員やってるのに、毎朝休みたいってぐずる二男。そんな彼らに、休日は家でゴロゴロして酒飲んで寝るみたいな父親じゃなくて、馬鹿みたい楽しんで挑戦する父親の姿を見せることで、常に挑戦し続ける大人になってほしい。こんな不安定な世の中でも大人になるのも悪くないなって思ってほしい。そんなのただの自己満足だ、そんなことよりもどこか遊びに連れてけ!って言われたらそれまでなんですけどね。自分、不器用ですから。

ウルトラの今後

今年はウルトラ完走で一区切りついたし、ロード・トレイルともに楽しそうなイベントや試走会に都合がつけば参加できればいいかなー程度でゆるくいこうと思います。

そして今回のウルトラで応援の心強さをあらためて実感しましたので、いつかマラソン大会に社員同士で応援し合って参加できたらいいなーって希望を抱いて、マラソン部の勧誘をしていきます。

最後に僕の今後のレース予定です。

2024  11/3 三重県伊賀市 忍者トレイルランニングレース (ロング 48km)

それではまた。

この記事を書いた人

マラソン部担当:長尾
5S委員長の長尾です。きれいで働きやすい会社にする為、コツコツ頑張っていきますんで、よろしくおねがいします。