営業部Hです。
今回は、毎年12月の第2土曜に行われるお祭りのお話です。
「みそぎ祭り」は、岐阜市の葛懸(かつらがけ)神社で室町時代から600年以上続く伝統的な神事です。
出雲からの神様をお迎えするため、三度のみそぎで身を清めます。
古くから「祭り元は女人禁制」というしきたりを守り、氏子を中心にその魂を受け継いできました。
舞台は、冬の長良川。
12月が近づくにつれ、祭りに関するLINEグループが一気に動き出します。
通知が増えるたびに、気持ちも祭りへと向かっていきます。
この時期、一番気になるのは天気予報。
スマホの画面を何度も開き、当日の天気と最低気温を食い入るように眺めては、
「あぁ、今年も冷え込むな」
と溜息をつく。
仕事帰り、車窓から長良川を横目に見る。
堤防の向こうに広がるのは、ただ冷たく、静まり返った冬の川面。
「今年もまた、あの川に入るのか」
寒さで、不安がよぎります。
何回経験しても、こればかりは慣れるということがありません。
それでも毎年、ふんどしを締めると、覚悟が決まります。
15時。
町内はいよいよ祭りの熱気に包まれます。
大人は大人、子供は子供で隊をなし、
祭りの主役、祢宜を中心に氏子が取り囲み、一般参加の方々と隊列を組み、町内を「わっしょい! わっしょい!」 の掛け声で練り歩きます。
声を張り上げ、激しく身体をぶつけ合う。
肩が外れんばかりの勢いで押し合い、進む隊列。 極寒の中だというのに、いつの間にか汗ばむほどです。




そして、20時。
ここからは氏子と関係者のみ。
祢宜と副祢宜、それぞれを囲う二つの隊列で漆黒の川へ向かいます。
昼間の熱気とは一変し、空気はピンと張りつめている。
吸い込まれそうなほど真っ暗な川面。
足元から冷えが這い上がってくる。
水温、7.5度。
合図でゆっくりと川へ入り、肩まで浸かる。
祝詞が終わるまでの、約1分少々。
たった1分、けれど体感では何倍にも感じます。
最初は息をのむ冷たさ。
次に、足の感覚が消えていく。
ただ祝詞の響きを全身で受け止める。
15時と20時の「祢宜」のみそぎ、さらに20時の「副祢宜」によるみそぎ。
すべては、午前0時に神様をお迎えするための、三度のみそぎ。
川から上がる頃には、足は棒のようになり、思うように歩けません。
ふらつきながら隣を見れば、皆、同じ顔をしています。
寒さに震えながらも、どこか晴れやかで、澄んだ瞳。

時代は変わっても、祢宜を囲って隊列を組み、身を清め、地域で神様を迎えるという本質は変わりません。
寒さは本物です。
不安もあります。
それでも、地域のつながりを感じ、「今年もやり切った」と思えるこの時間があるから、また今年も参加します。
この六百年の祈りを、私たちの代で絶やすわけにはいかない。
この祭りを、誇りを持って次代へと繋いでいかなければならないと歳を重ねる毎に思います。
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